【衆議院厚生委員会3号 昭和23年12月13日】議事録より

○内海委員
 ただいま議題となりました療術師法問題につきましては、議会におきましても前後八回にわたつて請願あるいは建議案等によつて通過しておるのであります。ただいまもまた武田、榊原、田中三委員よりこの問題の根本的解決のために、どうあつても調査機関を設けてもらいたいというような御意見もあつたようでありますが、私もしごく同感なのであります。このたび提出されておるこの請願の要旨は、本年一月一日より施行された法律第二百十七号あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法を改正して療術の新規開業を認め、かつ既得権の制限を撤廃されたいという請願であります。

 この問題については國会において過去八回にわたり療術師法制定の請願または建議案が通つているのであつて、政府当局においてもこれが法制化についてはすでに調査研究を盡されたことと信じます。

 ことに去る六月二日の第二回國会衆議院厚生委員会において、紹介議員として私より請願理由説明の後、榊原委員、成田委員その他多数の委員より、それぞれのお立場から賛成意見も出、政府もこれを了とせられたのであります。特に榊原委員よりは、本法制定の重要性にかんがみ調査会を設けてはいかがとの意見も出たのであります。政府においては、六月二日の当委員会における各委員の熱心なる主張と、諸情勢より見て、今日この請願に対し、漸進的にこの程度の改正ならばすみやかに請願の趣旨に沿わんとの御答弁あることを、私は確信しているのであります。

 本組合においても政府当局の意見もあり、全國十数万の組合員のために、協同組合本部に出版部を設け、療術基礎学たる生理、解剖、実地療法、技術等に関する四編よりなる教科書を出版、これを業者に頒布し、あわせて全國都道府縣各支部において再教育と実地講習普及のために、講師を派遣して鋭意努力しているのであります。

 さらに本年三月二十四日、本組合代表黒田保次郎、東村英太郎の諸氏に対し、竹田厚生大臣は基本法たる療術法制定に賛成の意を表されているのであります。また厚生省当局は、療術の効果が認定されれば療術を許すと言明している。さらに久下政府委員も同一席上で、療術である指圧療法は短かい期間の研究であつたが、非常に効果があると述べている。現厚生政務次官である庄司代議士は、議会人としてまれに見る博識の人であつて、私も常に國会の先輩として尊敬している一人でありますが、この療術のことに関し、第七十六議会において療術の効果を発表され、療術に関する幾多の経驗を、顯著なる実例をあげて絶讃されているのであります。御参考までに第七十第七十六議会速記録を添付してありますから、よくごらんを願います。厚生大臣であつた一松定吉氏も、昨年十二月九日の全國療術業者大会の席上で、療術の効果あることは自分も治療を受けているから認めると言明しているのであります。

 最後に、療術師法制定の賛否に関し、全國療術協同組合長守屋榮夫氏の名をもつて、去る十月國会議員全体に対し意見を求めたるに、十月二十日までに達した文書によると、賛成の意を表明し、協力するといつて参つた者三百四十二名の多数に達しているのであります。このうち衆議院議員二百四十二名で、絶対多数を示したのであります。政府においても本請願の趣旨を檢討され、 基本法たる療術師法の法制化に先だつて、本年一月一日より施行した法律第二一七号、あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法の一部を改正して、療術、すなわち一、指圧整体、二、光線療法、三、電氣療法、四、刺戟療法、以上四業種目を追加し、新規営業を認め、かつ既得権の制限を撤廃されんことを請願する次第であります。

 なお法律第二一七号改正草案は、すでに本月八日厚生大臣あて、陳情書とともに庄司政務次官のお手元に提出してありますから、御檢討の上、すみやかに改正実施されんことをお願いいたします。

 委員会においても這般の事情御推量の上、満場一致をもつて本請願を御採択あらんことを切望いたします。これをもつて説明といたします。

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